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ミッキーのマンション管理よもやま話

湾岸地域の500戸を超えるマンションの管理組合法人理事長。16年間理事長をしていたが、膵臓癌発症して2019年に引退。復帰はないと思っていたが、諸般の事情から2023年に復活。これまで、管理組合のガバナンス構築・制度設計・規約改訂・長期修繕計画・積立金適正化・大規模修繕等、一通りのことは経験してきました。RJC48評議会議員。マンション管理のコンサル引き受けます。

[12/05/18:Fri]総会の出席通知・委任状・議決権行使書 番外

[12/05/18:Fri]総会の出席通知・委任状・議決権行使書 番外 
 
[12/05/16:Wed]総会の出席通知・委任状・議決権行使書 1/8 のエントリー中、議決権行使書のフォーマットにおいて「 * 白紙の場合は賛成と見なします。<-- ここがミソだッたりする」ということを書いた。これについて、「白紙の場合は、賛成と見なしますとなっていますが、すこしやばいですよ。白紙の場合は棄権にして、カウントしない方が。」という親切なコメントをいただいた。ありがとうございます。
 
これを機会に、議決権行使書の特定案件で、「賛成」、「反対」の意思表示がない場合、「賛成とみなす」のは許されるのか? という問題を検討する。
 
管理組合総会に物理的に出席できない人でも、個々の案件について「賛成」、「反対」の意思表示は可能である。議決権行使書を利用すればいいのだ。個々の案件について「賛成」または「反対」の欄にチェックして、それを理事長に提出すればよい。ところが、往々にして「賛成」、「反対」の意思表示がない(以下、「白紙」という)ことがある。
 
このような場合、その案件について「賛成」として扱っても良いのか? というのが問題となる。
本件についてネットで調べると、会社の総会などでは、「白紙の場合、会社提案に賛成とみなす」という考え方があるので、それに準じてはどうか? という考えと思われる意見もあるし。「一方的に決めつけるのはいかがなものか?」 という意見もある
 
前者は、現実には「白紙で議決権行使書を出す」というのは、社会に根付いているというのが根拠となっているようである。たとえば、以下のブログがそうである。
 
http://blogs.dion.ne.jp/sone/archives/10352224.html
 
一方、後者の意見としては国交省がマンション標準管理規約を改訂する際に求めたパブリックコメントに応じた(国交省の)考え方が代表的であろう。
 
パブコメのまとめとして、国交省が公開した「パブリックコメントにおける主な意見の概要とこれらに対する国土交通省の考え方」という文書中で以下のような記載がある。
 
4. 議決権行使書と委任状に関する規定の整理等(第46条関係)(pp. 3)
 
「①議決権行使書と委任状の取扱いの整理」において、主な意見として
   
「賛否の記載のない議決権行使書を一律に賛成票として取り扱うことは株主総会などで一般的に行われていることから、そのようなことを「困難」とするコメントには反対である。」
 
このコメントに対する国交省の考え方は、少なくとも同文書には述べられていない。
 
ところが、平成 22年12月24日 国土交通省住宅局市街地建築課マンション政策室発行の「マンション標準管理規約の改正案に関するご意見の募集について」(マンション標準管理規約(単棟型)コメント新旧対照表(改正案))では、本件にかかるコメントとして、以下のように記されている。
 
5 書面による議決権の行使は、各議案ごとに賛否を記載した書面によって組合員の意思を明らかにするものであり、賛否の記載のないものは、賛否いずれかの意思表示がなされていると考えること(例えば一律に賛成票として取り扱うこと)は困難である。なお、このような場合においても、当該書面を提出した組合員を総会への出席組合員として取り扱うことは可能であると考えられる。
 
しかし、最終的に改訂され公表された「マンション標準管理規約及び同コメント(最終改正 平成23年7月27日国土動指第3号、国住マ第18号)」で、本件に関するコメントは記載されていない。
 
総会における議決権行使書(と委任状)の扱いについてのコメントは、下記の通り。すこし長いが参考となるので、引用する。
 
⑤  書面による議決権の行使とは、総会には出席しないで、総会の開催前に各議案ごとの賛否を記載した書面(いわゆる「議決権行使書」)を総会の招集者に提出することである。他方、代理人による議決権の行使とは、代理権を証する書面(いわゆる「委任状」)によって、組合員本人から授権を受けた代理人が総会に出席して議決権を行使することである。 
 
このように、議決権行使書と委任状は、いずれも組合員本人が総会に出席せずに議決権の行使をする方法であるが、議決権行使書による場合は組合員自らが主体的に賛否の意思決定をするのに対し、委任状による場合は賛否の意思決定を代理人に委ねるという点で性格が大きく異なるものである。組合員の意思を総会に直接反映させる観点からは、議決権行使書によって組合員本人が自ら賛否の意思表示をすることが望ましく、そのためには、総会の招集の通知において議案の内容があらかじめなるべく明確に示されることが重要であることに留意が必要である。 
 
⑥  代理人による議決権の行使として、誰を代理人とするかの記載のない委任状(いわゆる「白紙委任状」)が提出された場合には、当該委任状の効力や議決権行使上の取扱いについてトラブルとなる場合があるため、そのようなトラブルを防止する観点から、例えば、委任状の様式等において、委任状を用いる場合には誰を代理人とするかについて主体的に決定することが必要であること、適当な代理人がいない場合には代理人欄を空欄とせず議決権行使書によって自ら賛否の意思表示をすることが必要であること等について記載しておくことが考えられる。
 
本件については明示的に議論はされていないが、「委任状」に関しては、「誰を代理人とするかの記載のない委任状(いわゆる「白紙委任状」)が提出された場合には、当該委任状の効力や議決権行使上の取扱いについてトラブルとなる場合・・・(中略)・・・委任状の様式等において、委任状を用いる場合には誰を代理人とするかについて主体的に決定することが必要であること、適当な代理人がいない場合には代理人欄を空欄とせず議決権行使書によって自ら賛否の意思表示をすることが必要であること等について記載しておく」ことが推奨されている。すなわち、委任状本紙にトラブル防止のための処置方法を明示すべ気であって、その内容が例示されている。例示であるからこれら限ったことではなく、他の処置方法を追加することは妨げられないと介すべきであろう。
 
このコメントの趣旨を「議決権行使書」の適用するとどうなるか。議決権行使書においては、各議案についての「賛成」、「反対」の意思表示がなされることが予定されているが、時として「白紙」場合もあり得る。また、全く関係ない事柄の書き込みもあり得る。後者は本件とは異なる問題であるから、議論はしない。しかしながら、前者は当然予想されることであるので、「委任状」の場合と同様に「白紙」となったときの処置方法を当該議決権行使書場に明記すべしと推奨していると読める。どのような処置方法になるのかは(たとえば、「白紙の場合は、賛成とみなす」、「白紙の場合は、反対とみなす」、「白紙の場合は、棄権とみなす」等)各管理組合の自治にゆだねられていると解釈するのが自然であろう。どの処置を採るかは、管理組合のポリシーである。
 
議決権行使書自体に記載はなくとも、管理規約、同細則、総会規則などの別の規程で明記してもかまわないのはもちろんである。管理組合としては、「白紙」の場合の処置を議決権行使書自体に記載しておき、トラブルを避けるというのが賢いと思う。
 
こうして考えてみると、「白紙の場合、賛成とみなす」という問題提起は、議決権行使書に「白紙の場合の処置」が記載されていない場合のことだと解る。このケースについての国交省の考え方は依然不明というしかないが、一度「賛否の記載のないものは、賛否いずれかの意思表示がなされていると考えること(例えば一律に賛成票として取り扱うこと)は困難である」という考えを公表していながら、引っ込めたと言うことは省内でも確たる意見がないということなんだろうと推測する。
 
個人的には、議決権行使書を白紙で出すということは信じがたいのであるが、議決権行使書を提出するということは、少なくとも議案に関する意思表示を行なうと言うことである。特定の議案について、棄権というのはいかがなものであろうか。管理組合総会の議案は「現状に問題あるから、改善したい」という趣旨のものがほとんどであろう。住んでいるマンションを良くしたいという気持ちの表れである。その議案に対して「現状を変えたくない」と思うのなら、積極的に「反対」の意思表示をすれば良いだけであって、それをしないというのは、(渋々ながら)改善を受け入れるという意思(あるいはあきらめ)があると推定するのが合理的だと思う。管理組合側にたった発想だな。まあ、ここは異論があるところで、「サイレントマジョリティは現状肯定」だといわれそうだ。
 
ところで、うちのマンションの議決権行使書には、本紙にちゃんと「白紙の場合は賛成と見なします。」という注意書きを入れているので、結論としては賛成票として扱っても問題なしと言うことになる。
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