今は在宅勤務で仕事量が極端に少ない。本業は引退間近と言うこともあって、後輩への申し送り書を書いている。自分がやり残したことを中心に書くのだが、最近は疑問を持つようになった。
というのも、申し送り書に書くべき内容としては、問題点の見つけ方だけで良いんじゃないかと、最近達観してきたからだ。魚をくれるよりも、魚の捕り方を教えてくれる方が後々まで役に立つのと同じである。でも、上司はそこがわからないみたいで、「今ある問題点と解決方法を申し送っておけ」という。アホである。
管理組合の運営を引き継ぐというのも、これと同じである。特に理事長は全体に目配りが必要だ。管理組合が潜在的に抱えている問題を発見して、その解決方法を探って行くには、一定の知識経験が必要だ。それ以上に必要なのは「マンションの将来像を描く才能」だ。くどくどと説明を要しないであろう。
ところで、問題点の発見方法を文章にするのは、結構難しい。最後は個人の皮膚感覚が決め手になる。「経験の差」といってもいいが少し違う。これは個人の身についたノウハウであり、「余人をもって代えがたい」というのは、何処の世界でもある。個人の持つ一番深い暗黙知を他人に伝えるのは無理なんだろう。
AIの発達で、可能性をしらみつぶしに選択肢を調べるというのも有効だが、そこから先の決断は人間の仕事だ。最善手が必ずしも有効だとは限らない。
将棋の大山15世名人はわざと次善手を指して相手を混乱させたという。最善手は相手も読んでいるが、次善手はそうでもないことがある。ここらの感覚は勝負師であるが、マンション管理も同じような発想が求められる。住民・管理会社・コントラクターが予想していない手段で主導権を握る。そうすることで成し遂げられる改革もある。自分が何処までできていたかを振り返ると、忸怩たる物がある・・・・・・。
1. 近況うかがいします