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ミッキーのマンション管理よもやま話

湾岸地域の500戸を超えるマンションの管理組合法人理事長。16年間理事長をしていたが、膵臓癌発症して2019年に引退。復帰はないと思っていたが、諸般の事情から2023年に復活。これまで、管理組合のガバナンス構築・制度設計・規約改訂・長期修繕計画・積立金適正化・大規模修繕等、一通りのことは経験してきました。RJC48評議会議員。マンション管理のコンサル引き受けます。

改正案コメント 37/ 第46 条(議決権):コメント

③ ①や②の方法による議決権割合の設定は、各住戸が比較的均質である場合には妥当であるものの、高層階と低層ンの議決権割合について、より適合的な選択肢を示す必要があるものと考えられる。これにより、特に大規模な改修や、建替え等を行う旨を決定する場合、又は建替え前のマンションの専有部分の価値等を考慮して建替え後の再建マンションの専有部分を配分する場合等における合意形成の円滑化が期待できるといった考え方もある。
 

 このため、住戸の価値に大きな差がある場合においては、単に共用部分の共有持分の割合によるのではなく、専有部分の階数(眺望、日照等)、方角(日照等)等を考慮した価値の違いに基づく価値割合を基礎として、議決権の割合を定めることも考えられる。

 この価値割合とは、専有部分の大きさ及び立地(階数・方角等)等を考慮した効用の違いに基づく議決権割合を設定するものであり、住戸内の内装や備付けの設備等住戸内の豪華さ等も加味したものではないことに留意する。
 

 また、この価値は、必ずしも各戸の実際の販売価格に比例するものではなく、全戸の販売価格が決まっていなくても、各戸の階数・方角(眺望、日照等)などにより、別途基準となる価値を設定し、その価値を基にした議決権割合を新築当初に設定することが想定される。ただし、前方に建物が建築されたことによる眺望の変化等の各住戸の価値に影響を及ぼすような事後的な変化があったとしても、それによる議決権割合の見直しは原則として行わないものとする。
 

 なお、このような価値割合による議決権割合を設定する場合には、分譲契約等によって定まる敷地等の共有持分についても、価値割合に連動させることが考えられる。

 
特定の者について利害関係が及ぶような事項を決議する場合には、その特定の少数者の意見が反映されるよう留意する。
 

組合員が代理人によって議決権を行使する場合の代理人の範囲について規約に定めておくことも考えられるが、その場合には、総会は管理組合の最高の意思決定機関であることを踏まえると、代理人は、区分所有者としての組合員の意思が総会に適切に反映されるよう、区分所有者の立場から見て利害関係が一致すると考えられる者に限定することが望ましい。5項は、この観点から、組合員が代理人によって議決権を行使する場合の代理人の範囲について規約に定めることとした場合の規定例である。また、総会の円滑な運営を図る観点から、代理人の欠格事由として暴力団員等を規約に定めておくことも考えられる。なお、成年後見人、財産管理人等の組合員の法定代理人については、法律上本人に代わって行為を行うことが予定されている者であり、当然に議決権の代理行使をする者の範囲に含まれる。
 

書面による議決権の行使とは、総会には出席しないで、総会の開催前に各議案ごとの賛否を記載した書面(いわゆる「議決権行使書」)を総会の招集者に提出することである。他方、代理人による議決権の行使とは、代理権を証する書面(いわゆる「委任状」)によって、組合員本人から授権を受けた代理人が総会に出席して議決権を行使することである。このように、議決権行使書と委任状は、いずれも組合員本人が総会に出席せずに議決権の行使をする方法であるが、議決権行使書による場合は組合員自らが主体的に賛否の意思決定をするのに対し、委任状による場合は賛否の意思決定を代理人に委ねるという点で性格が大きく異なるものである。
 
そもそも総会が管理組合の最高の意思決定機関であることを考えると、組合員本人が自ら出席して、議場での説明や議論を踏まえて議案の賛否を直接意思表示することが望ましいのはもちろんである。しかし、やむを得ず総会に出席できない場合であっても、組合員の意思を総会に直接反映させる観点からは、議決権行使書によって組合員本人が自ら賛否の意思表示をすることが望ましく、そのためには、総会の招集の通知において議案の内容があらかじめなるべく明確に示されることが重要であることに留意が必要である。
 

/*③のコメントは「議決権の個数を決めるには、『専有部分の価値という別個の指標』を考慮してもよい」という趣旨だと理解するが、これについては、実務上無理だと判断する。本コメントはいわゆるタワーマンションを念頭に置いたものであると推測されるが、以下のような問題点がある。
 

1. まず、どのような価値を基準とするのかが明確ではない。コメントでは、「専有部分の大きさ及び立地(階数・方角等)等を考慮した効用の違い」を示しているが、他方では、これが必ずしも当初の販売価格とリンクされるものではないとも言っている。確かに販売価格は販売業者の政策的判断が入っているから、客観性が担保されないのはいうまでもない。では、実際にはどういうフォーミュラで算出せよというのか? 「それは各管理組合で決めて欲しい」といいたのであろうが、標準管理規約のコメントとしては、無責任だと思う。
 

2. 100歩譲って、価値割合が算出できたとしても、その割合は固定される。入居後に、眺望の変化があっても、反映されないのが原則と言う。しかし、目の前の眺望や日照が悪くなれば、価格に悪影響を与えるのは当然であるので、論理的であるとは言い難い。他の専有部分の価値は相対的に上がるはずなので、当該他の専有部分の所有者は、価値の落ちた専有部分の価値割合が据え置かれるという結論には納得できないだろう。さりとて、中古価格と連動させるにしても、当該中古価格は、眺望や日照のみならず、住戸内の内装や備付けの設備等住戸内の現状も加味されるのが自然であって、この影響をなしとする価値割合の設定ができるとも思えない。
 

3. 以上のような問題点があるのにもかかわらず、「違う価値割合を導入すべし」と言うのであれば、算定式・見直し方法を具体的に例示すべきである。
 

4. 区分所有法の規定との関係について、説明不足である。本コメント、なお書きにおいて、「このような価値割合による議決権割合を設定する場合には、分譲契約等によって定まる敷地等の共有持分についても、価値割合に連動させることが考えられる」としている。区分所有法第14条第1項(共用部分の持分の割合)では、「各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による」と定められている。しかし、同条第4項では「前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない」とあるので、管理規約でこれに反する持ち分割合を決めても良いと言うことになる。
 

 本コメントは、議決権割合の決定方式にのみ言及している。ところで、権利あるところには義務が付随するのは当然のことである。その結果としてこの価値割合は、管理費・修繕積立金の算出の基礎とするのかどうかという疑問が生じる。管理費については第25条第2項に「管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする」とされているので、本条で「価値割合」を導入したときには、同規定を通じて、管理費の算出基準は価値割合になると理解すべきと思われる。しかし、この点についてのコメントは見当たらないのは不親切である。また、上記ミッキーコメント2に述べたように、この価値割合は不変であるから、中古価格が落ちた専有部の区分所有者は、割高な管理費支払いを余儀なくされることとなる。
 

 ⑤は、議決行使を委任する代理人の範囲を定めるためである。「暴力団員等」の排除を明文で定めるというのは、考慮に値する。第5項に限定列挙されている有資格者が暴力団員等ではないという保証はないからである。
 

 法定代理人についてのコメントは、法律知識のある人にとっては言わずもがなであるが、再三再四述べているように、管理組合理事は法律知識を持っている人ばかりではないから、確認的なコメントはありがたい。これがあると、法律知識のない人を説得する手間暇が大幅に減少するからだ。
  
 

 ⑥号は議決権行使書による総会議案への意思表示に関する解説となっている。代理人と異なり、議決権行使書は、自らの意思を直接表示できるので、極力こちらを重視すべきである。極論すれば、総会に欠席を余儀なくされるときの意思表示の方法として、「代理人による意思表示」は廃止し、「議決権行使書」のみにしても良いのではないかと考える。その理由を示したのが、今回付加されたコメント部分である。すなわち、「そもそも総会が管理組合の最高の意思決定機関であることを考えると、組合員本人が自ら出席して、議場での説明や議論を踏まえて議案の賛否を直接意思表示することが望ましいのはもちろんである。」いうコメントであり、大歓迎である。欲を言えば、「そもそも総会が管理組合の最高の意思決定機関であることを考えると、組合員本人が自ら出席して、議場での説明や議論を踏まえて議案の賛否を直接意思表示することが当然である望ましいのはもちろんである。」とくらい言い切って欲しい。理由についてはあえて書かないが、解る人には解るはず。*/

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