湾岸地域の500戸を超えるマンションの管理組合法人理事長。16年間理事長をしていたが、膵臓癌発症して2019年に引退。復帰はないと思っていたが、諸般の事情から2023年に復活。これまで、管理組合のガバナンス構築・制度設計・規約改訂・長期修繕計画・積立金適正化・大規模修繕等、一通りのことは経験してきました。RJC48評議会議員。マンション管理のコンサル引き受けます。
4 区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、理事長は、規約原本、規約変更を決議した総会の議事録及び現に有効な規約の内容を記載した書面(以下「規約原本等」という。)並びに現に有効な第18 条に基づく使用細則及び第70 条に基づく細則の内容を記載した書面(以下「使用細則等」という。)の閲覧をさせなければならない。
5 第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
6 理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等及び使用細則等の保管場所を掲示しなければならない。
第72条(規約原本等):コメント
② 第4 項では、第18 条に基づく使用細則及び第70 条に基づく細則についても、規約原本等と同じ手続で閲覧を認めることを明確に定めた。
/*使用細則等の開示を義務付けたものだが、通常は各戸配布または住民向けホームページで公開するものだと思う。*/
これでようやく終了。ちょっと大変すぎることに手を付けちゃったな。5人くらいで分担すればよかったかも。そのうち加筆訂正したものをアップするつもりだけど、当面は無理だな。年末年始は、RJC48 の講演ネタに集中しないと間に合わない。その前に、自分自身の健康問題もあるからなあ・・・orz
① 第1 項及び第2 項の「利害関係人」については、コメント第49条関係①を参照のこと。
(中略)
④ 第2 項は、第32 条で管理組合の業務として掲げられている各種書類等の管理について、第1 項の帳票類と同様に、その保管及び閲覧に関する業務を理事長が行うことを明確にしたものである。なお、理事長は、理事長の責めに帰すべき事由により第1項の帳票類又は第2項に掲げる書類が適切に保管されなかったため、当該帳票類又は書類を再作成することを要した場合には、その費用を負担する等の責任を負うものである。
⑤ 第3 項は、組合員又は利害関係人が、管理組合に対し、第1 項、第2 項並びに第72 条第2 項及び第4 項の閲覧ではなく、管理組合の財務・管理に関する情報のうち、自らが必要とする特定の情報のみを記入した書面の交付を求めることが行われている実態を踏まえ、これに対応する規定を定めるものである。書面交付の対象とする情報としては、大規模修繕工事等の実施状況、今後の実施予定、その裏付けとなる修繕積立金の積立ての状況(マンション全体の滞納の状況も含む)や、ペットの飼育制限、楽器使用制限、駐車場や駐輪場の空き状況等が考えられるが、その範囲については、交付の相手方に求める費用等とあわせ、細則で定めておくことが望ましい。別添4は、住戸の売却予定者(組合員)から依頼を受けた宅地建物取引業者が当面必要とすると考えられる情報を提供するための様式の一例に記載のある主な情報項目であり、上述の細則を定める場合の参考とされたい。
⑥ 第3項に規定する管理組合の財務・管理に関する情報については、これらの情報が外部に開示されることにより、優良な管理が行われているマンションほど市場での評価が高まることや、こうした評価を通じて管理の適正化が促されることが想定されることから、書面交付の対象者に住戸の購入予定者を含めて規定することも考えられる。一方で、開示には防犯上の懸念等もあることから、各マンションの個別の事情を踏まえて検討することが必要である。
/*④⑤については、規約の関するコメント参照。
⑥については、生活関連の規約細則、各種取り決め等を外部へ公開することによって、購入を検討しやすくする効果がある。財務情報なども含め絵、必要な情報をタイムリーに開示することにより市場の信頼を得やすくなるので、ホームページを整備していくべきであろう。また、取引業者に対しても、「Web を見てね」で済むことになるので、事務量が少なくなるという利点もある。ただし、防犯上の懸念、掲示板あらしなどのリスクもあることから、開示範囲をあまりに広くすることは危険である。 */
3 理事長は、第1項及び第2項並びに第72条第2項及び第4項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を作成し、交付することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
(帳票類等の作成、保管)
第64条 理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を、書面又は電磁的記録により作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
2 理事長は、第32 条第3 号の長期修繕計画書、同条第5 号の設計図書及び同条第6 号の修繕等の履歴情報を、書面又は電磁的記録により保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
3 理事長は、第1項及び第2項並びに第72条第2項及び第4項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を作成し、交付することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。
4 電磁的記録により作成された書類等の閲覧については、第49条第5項に定める議事録の閲覧に関する規定を準用する。
/*第2項は設備修繕関係の書類の保管義務、第3項は会計等の財務会計関係書類の保管義務を定める。今時、紙で保存している管理組合(特に築淺の大規模マンション)は少ないと思うので、次の電磁的方法による保管となることであろう。
保管と合わせて、閲覧の手続き等についても定める。第2項に定める長期修繕計画書は、入居時に配布されていることが多く、その改訂も総会付議事項となるのが通常であるから、議案の一部として各戸に配布済みであろう。
設計図書および修繕等履歴については、一般の居住者が必要とすることはほとんど考えられない。必要とするのは、大規模修繕委員会委員くらいであろう。
規約原本、総会議事録についても、規約の変更は総会特別決議事項であり、その内容議案として配布され、総会議事録についてもその要約は広報されるから、一般の住民が閲覧を請求することは少ないと考えられる。理事会に内紛がある時くらいかも知れない。ミッキーマンションでは、居住者からの閲覧請求は今まで1度もない。
電磁的記録による保管については、紙を保存する場合に比べて保管スペースがほとんど不要で、かつ検索しやすいという利点がある。また帳票類、議事録等は、コンピュータを用いて作成されることが多く、オリジナルフォーマットまたはPDF に変換しての保存が楽である。
ミッキーマンションでも、過去の書類をPDF 化して保存した。入居当初は紙ベースであったが、途中からは電子ファイルも持っているので、そのあたりからは楽であった。 保全年限については、細則の中で定めている。*/
② 徴収日を別に定めることとしているのは、管理業者や口座(金融機関)の変更等に伴う納付期日の変更に円滑に対応できるようにするためである。
③ 管理費等の確実な徴収は、管理組合がマンションの適正な管理を行う上での根幹的な事項である。管理費等の滞納は、管理組合の会計に悪影響を及ぼすのはもちろんのこと、他の区分所有者への負担転嫁等の弊害もあることから、滞納された管理費等の回収は極めて重要であり、管理費等の滞納者に対する必要な措置を講じることは、管理組合(理事長)の最も重要な職務の一つであるといえる。管理組合が滞納者に対して取り得る各種の措置について段階的にまとめたフローチャート及びその解説を別添3に掲げたので、実務の参考とされたい。
④ 滞納管理費等に係る遅延損害金の利率の水準については、管理費等は、マンションの日々の維持管理のために必要不可欠なものであり、その滞納はマンションの資産価値や居住環境に影響し得ること、管理組合による滞納管理費等の回収は、専門的な知識・ノウハウを有し大数の法則が働く金融機関等の事業者による債権回収とは違い、手間や時間コストなどの回収コストが膨大となり得ること等から、利息制限法や消費者契約法等における遅延損害金利率よりも高く設定することも考えられる。
(中略)
⑥ 第2項では、遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することが「できる」と規定しているが、これらについては、請求しないことについて合理的事情がある場合を除き、請求すべきものと考えられる。
/*②については、徴収日は前月末の銀行営業日〔銀行休業日であるときは、次の銀行営業日)としているところが多いと思われる。管理業者の変更対応・銀行口座の変更は、通常は余裕を持ってスケジューリングするので、これを理由にするというのはとってつけたような感じが否めない。単純に「前月の最終日(銀行競業日であるときは次の銀行営業日)」という形で定めれば良いのではないか?「別途定める」としても、細則等で定めなければならず、管理組合としては2度手間である。
金銭消費貸借に係る利息の制限は、利息制限法によると、元本10万円までは20%、10万円超100万円未満の場合は18%、100万円を超える場合は15%とされているが、損害賠償額の予約においてはそれぞれの1.46倍まで有効である。なんとなく15%が上限という意識があるが、実際はそうではないのである。従い、理論的には、29.2%、26.28%、21.9%となるのである。日歩5銭(18.25%)としている管理組合が多いのはこのあたりの事情を考慮してものであろう。ちなみにミッキーマンションは日歩4銭。これは原始規約がそうなっていたためである。もっとも、利息制限法、消費者契約法はマンション管理費には適用されないので、理論上はいくらでも良いという事になるが、あまりに高くして破産に追い込むのが目的ではないので、常識の範囲内ということになろう。
⑤のうち、弁護士費用については、免除すべき特段の事情が無い限り、請求すべきというコメントの趣旨に賛成。ところで、「違約金としての弁護士費用」という表現にはかねてから違和感があったのだが、これは「債権者は、金銭債務の不履行による損害賠償として、債務者に対し弁護士費用その他の取立費用を請求することはできない」(最高裁昭和48年10月11日判決)という判例があり、この射程を逃れるために「違約金としての」という言葉を入れて、弁護士費用を取り立ててきたという歴史がある。
この「違約金としての」という表現は、東京高裁平成26年4月16日判決により、「違約罰」と解されるとされ、さらに判決文の中で、「『違約金としての弁護士費用』は『管理組合が負担する一切の弁護士費用(違約金)』と定めるのが望ましい」、と指摘されている。本件は、区分所有者から最高裁に上告中であるが、上告棄却されて高裁判決が確定すると、標準管理規約及び個々のマンションの管理規約の見直しが必要となる。*/
管理組合は、第25条に定める管理費等及び第29条に定める使用料について、組合員が各自開設する預金口座から自動振替の方法により第62条に定める口座に受け入れることとし、当月分は前月の○日別に定める徴収日までに一括して徴収する。ただし、臨時に要する費用として特別に徴収する場合には、別に定めるところによる。
(中略)
3 管理組合は、納付すべき金額を納付しない組合員に対し、督促を行うなど、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
/*徴収日の定義を明確にしたもの。第3項は、管理費等を滞納している区分所有者に対する督促手続きを行うよう求めている。ミッキーマンションでは、「財務会計細則」として、滞納日数に応じて督促手段を定めている。この手段については別途記事を書くつもり。*/
4 理事長は、前項に定めるの規定に基づき行った支出を行ったときは、第1項に定めるの規定により収支予算案の承認を得たときは、当該収支予算案による支出とみなするために開催された通常総会において、その内容を報告しなければならない。この場合において、当該支出は、その他の収支予算とともに承認されたものとみなす。
5 理事会が第54条第1項第10号の決議をした場合には、理事長は、同条第2項の決議に基づき、その支出を行うことができる。
6 理事長は、第21条第6項の規定に基づき、敷地及び共用部分等の保存行為を行う場合には、そのために必要な支出を行うことができる。
第58条(収支予算の作成及び変更):コメント
① 通常総会は、第42条第3項で新会計年度開始以後2か月以内に招集することとしているため、新会計年度開始後、予算案の承認を得るまでに一定の期間を要することが通常である。第3項及び第4項の規定は、このような期間において支出することがやむを得ない経費についての取扱いを明確化することにより、迅速かつ機動的な業務の執行を確保するものである。
なお、第4項の規定については、公益法人における実務運用を参考として、手続の簡素化・合理化を図ったものである。
(中略)
④ 第5項は、第54条第2項の決議に基づき、理事長が支出を行うことができることについて定めるものである。
⑤ 第6項は、第21条第6項の規定に基づき、災害等の緊急時において敷地及び共用部分等の保存行為を行う場合に、理事長が支出を行うことができることについて定めるものである。
/*第4項は、各会計年度の予算が総会で承認されるまでの間における定例的な支出に関して、総会で予算が承認された時点で、当該予算委基づく支出と「みなす」ことにより、手続を簡素化した規定。実務では、予算承認前だからと言って支払を拒むわけにもいかず、実際には支払っていたので、この商習慣を追認したとも言える。しかし、なんでも良いというわけではなく、第1項(経常的な支出)、第2項(長期修繕計画に基づき実施する工事代金の支出)に限定されていることに留意が必要である。
第5項は、第54条第1項第10号は災害時に「総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事」、第6項は、第21条第6項は災害時における「保存行為」に関する支出について、それぞれ理事会と理事長の権限を明記している。これ自体は、問題ないのであるが、第5項と第6項の順番は逆の法がわかりやすいと思う。また、災害時における支出権限は防災細則等に一覧としてまとめておくべきであろう。*/