もう一度、巷間言われている法人化のメリット・デメリットを掲げる。
メリット
(1)法律関係の明確化(組合財産と理事長個人財産の区別)
(2)組織運営の安定化と役員・住民の意識向上
(3)訴訟等の法的手段の簡易迅速性
(4)理事長の負担軽減
(5)取引の安全と円滑化
(6)資金調達が容易になる
デメリット
(1)法人登記事務の手間と経費の増加
これまで検討してきて、明らかに法人化のメリットと言えるものは、「(1)法律関係の明確化(組合財産と理事長個人財産の区別)」だけである。その他は、
実態とかけ離れた観念的な議論に過ぎない。法人化と関係のない効果を強引に導き出しているとも言える。
しかし、このメリット論が堂々と流布されているのは、
法人化の理由付けとして使いやすいからであろう。自分の頭で物事を考えない人を説得するのには、「弁護士先生がこう言っている」というのは説得材料として権威を持つからである。
法人化を仕掛ける理事会(または理事長)側の真の狙いがどこにあるのかは、各組合の置かれた状況によって違うが、少なくとも上記効果だけで決めているわけではなさそうだ。
なんのために法人化するのか? ようく考えて見よう。