ひとつは
第三者管理の導入である。理事の担い手が不足し,満足な管理ができなくなった場合に,外部の専門家を理事,究極的には理事長にできるという問題意識に基づいた改正であるが,そもそも住民と外部では意識が違う。
外部の第三者はあくまでも契約に基づいて管理を受託するのであるが,当該マンションに住んでいるわけではない。住民目線ではないし,いざとなれば契約解約して逃げれば良い。
逃げられない住民とは覚悟が違うのである。
この第三者管理を導入したことによって,他の規定にも影響が来ている。たとえば,理事の欠格要件,監事の役割,総会出席代理人資格の改訂など,管理組合活動のガバナンスに係る一連の改正。
例えば理事の欠格条項や利益相反取引の規定である。会社法に似せての規程だが,ドイツ社会学を引くまでもなく「ゲゼルシャフトとゲマインシャフトは,基礎や指導理念が違う」のである。前者の制度を無批判的に後者に持ち込んだ感が強いが,ここは拙速に過ぎたと思う。私は仕事で会社法務に携わっているから,まだ馴染みがあるが,そういう背景のない理事さんは困るだろうなあ。